「CIS(独立国家共同体)各国首脳が集まったのは重要だ。(旧ソ連国民)全員が勝利に貢献した」――。ロシアのプーチン大統領はモスクワの「赤の広場」で催された対ドイツ戦争記念行事の演説の中でこう述べた。この言葉の持つ意味は結構複雑だ。
2005年の戦勝60年の時は、当時のブッシュ米大統領も参列したが、ジョージア紛争やウクライナ南部クリミア半島併合後、参加者は激減。ウクライナ侵略でさらに減ったが、CISのアルメニア、ベラルーシ、そしてカザフスタンなど中央アジア5カ国の首脳が参加して辛うじて面目を保った。
しかし、当初から参加が決まっていたのはキルギスのみで、他の首脳は急遽決まったようだ。ウクライナ侵略で、中央アジアの国々でも実は動揺が起きている。
ソ連崩壊でやっと独立を手にしたこれらの国々が、今のウクライナを明日のわが国と考えないわけがない。昨年開かれた上海協力機構の会議でも、そんな本音が吐露される場面があった。
その間隙を突くように、今年2月にはブリンケン米国務長官がカザフスタンを訪問。中央アジア5カ国外相と会談し、関係の強化を図っている。ウクライナ侵略が泥沼化する中、ロシアとしては「柔らかい下腹」に当たる中央アジアが動揺することは何としても避けたいところだろう。
中央アジア諸国としては、かつてソ連の一員として戦った対独戦勝記念というだけなら一応名分は立つという考えと思われる。