イスラエルでは5月8日の日没から9日にかけて、ユダヤ教の祭り「ラグバオメル」を祝った。ユダヤ教三大祭の一つである「過ぎ越しの祭り」の2日目から毎日、麦の束(オメル)を数えて、33日目がこの日に当たる。ラグとはヘブライ数字で33を表す。
13世紀から始まったとされるこの祭りは、ユダヤ教の祝日であるにもかかわらず平日のように過ごせる。店は普通に開いているし、交通機関も通常運転だ。
この祭りには、至る所で焚(た)き火が燃やされる。子供たちが大人と一緒にアルミホイルでくるんだポテトやマッシュルーム、串に刺したマシュマロなどを焼いて食べる。娘たちが小学生の頃、生徒と父兄が集まって焚き火をしながらクラスの先生のギターでヘブライ語の歌を歌って楽しんだことを思い出す。
ここ数年は、山火事を懸念して焚き火をしないように政府からの要請があるが、それでも人々は公園や空き地などに集まってこの行事を楽しんでいる。
ユダヤ教宗教指導者の故ラビ・シモンバルヨハイの「焚き火の光はトーラー(旧約聖書)の光を象徴する」との教えから、ラグバオメルに焚き火をするようになったという。この日は、ラビの命日でもあるため、お墓がある北のメロン山には多くの巡礼者が集まる。2021年には滑りやすい坂道でつまずき転倒して将棋倒しになり、多くの人が亡くなった。
メロン山には今年、20万人もの巡礼者が訪れた。事故の悲劇を教訓に安全対策を万全にして行事が行われたという。(M)