やはり防災訓練しかない

地震で倒壊した納屋=5日、石川県珠洲市(提供写真)

こどもの日の午後、石川県能登で震度6強(珠洲市)の強い地震が起こった。珠洲市では深夜に震度5強の揺れが襲い、6日夜にはさらに激しい雨にも見舞われた。能登半島では2007年にも震度6強の地震が起きており、昨年来、地震が続いていることもあって不安が高まっているという。

東京は震度3くらいの地震はしばしば起こるが、それ以上の大きな揺れはそれほど多くない。11年の東日本大震災では震度5弱の揺れを体験したが今回観測された6強は筆者には想像すらできない激しさだ。

気象庁の解説では、「人は立っていることができず、這(は)わないと動けない。固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる。補強されていないブロック塀のほとんどが崩れる。大規模な地滑りや山体の崩壊が発生することがある」などとなっている。テレビなどを見ると、実際に珠洲市で起こっている事態だ。

人はいくら知識が豊富でも、体験したもの以外は観念的にしか理解できない。筆者は毎年数個の台風が通り過ぎる地方に育ったので、台風に関しては中心気圧が何ミリバール(現在はヘクトパスカル)なら雨や風はどの程度になり、川がどうなれば氾濫するかだいたい見通せるし、上陸した台風の目が過ぎ去れば、その後は大した被害は生じないことなどが体験的に分かる。

ただ最近は子供の頃には聞いたこともない線状降水帯が頻繁に発生し、台風を上回る被害を起こしている。地震多発の日本は建物の耐震強度はあるが、東日本大震災では津波のため大きな被害が生じた。個人の経験知は重要だが不十分で、それでは大規模災害には対応できない。

危機管理の専門家によると、本当の危機に直面すると訓練した行動以外の対応は取れないのだという。あまり楽しいものではないが、防災訓練をしっかり行うほかに大規模災害に備える方法はないようだ。

(武)

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