国連人口基金(UNFPA)が2023年の世界人口白書を公表し、その中で「(少子高齢化社会における経済状況の維持には)労働市場のジェンダー平等を推進する方が効果的」と記した。経済の視点から見た男女平等の内容だ。
具体的には、性差、性の区別なく仕事の機会が開かれていることがその求める内容となっている。だが生活、人生全般において追求すべきジェンダー平等とは、それだけではない。
ソニーの創始者、井深大氏は1960年代、財団をつくり胎児からの幼児教育に力を入れたが、「子供を産み育てるという能力は、女性だけに与えられた特権」として、母親が子を産み育てる欲求、権利の大きさを強調した。ジェンダー平等を考える時の大きな柱の一つだ。
この運動は爆発的な広がりを見せたが、母親同士の対抗意識ばかりが強くなり頓挫した。時期としては、この頃から一子に多額の教育費をかける少子化が顕著になっていった。井深氏の「“権威”を失った母親からは、利己的な子供しか育たない」という言葉を玩味したい。
岸田文雄首相は女性の権利に関する提案を行っている「W7(Women7)」のメンバーと面会し、広島で開催する先進7カ国首脳会議(G7サミット)で「ジェンダーの視点を議論の中に取り入れるべく、会議に参加する人間は努力していきたい」と語った。
日本が先導し、女性の権利拡充やジェンダー平等について発信すべきだ。