沖縄県の宮古島周辺で陸上自衛隊の多用途ヘリコプター「UH60JA」が行方不明となった件で、現場では事故直後から自衛隊や海上保安庁らによる捜索が昼夜問わず続けられた。
しかし、複雑な海底地形の影響などもあり、捜索活動は難航し、機体の一部とみられるものや、隊員のヘルメットなどは見つかったものの、しばらくの間、機体と隊員の発見には至らずにいた。そんな中、捜索協力に名乗りを上げたのが地元の漁師たちだった。
伊良部漁業協同組合の呼び掛けで集まった漁師たちは、漁に出るのをやめ、連日無償で捜索に協力してくれた。島周辺の海流や潮流を一番よく知っているのは地元の漁師たちだ。海保や自衛隊にとっても、とても心強い協力者であったに違いない。
捜索に協力する理由について漁師の一人、川満友博さん(40)は全国紙のインタビューで「(行方不明の隊員を)大きな海に残すなんてかわいそうすぎるよ。なんとか捜してやりたいんだ」と答えている。彼らの協力もあり、事件から一週間となった13日、海底でヘリの機体が発見されることとなった。
基地反対派などによる米軍や自衛隊への過激な抗議活動のみがクローズアップされがちな沖縄だが、地元住民と自衛隊とは、日ごろから友好イベントや交流会などを通して絆が育まれていることもまた事実だ。
漁師にとって、漁を休むことは収入が途絶えることを意味する。さらに連日の捜索には燃料代もかかる。今回の漁師たちの懸命な捜索協力は、自衛隊と地元漁民との日ごろからの信頼関係なしにはあり得なかったのではないかと感じる。
今回の漁師たちの行動に心からの敬意を表したい。
(K)