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「野球の試合時間が長過ぎる」という話を聞くことが最近多い。「短過ぎて物足りない」という声は聞いたことがない。3時間超えはいかにも長過ぎる。
選手にすれば、自分やチームにとって少しでも有利になるようにプレーするに決まっているが、その結果、試合時間は長くなる。
「野球は選手(監督)のものか観客のものか」という問題にもつながる。球場よりもテレビで観(み)るケースの方が多いのも当然のことだが、「作品は作者のものか鑑賞者のものか」という永遠の課題と同じパターンが野球にも言える。
野球は「間(ま)」のスポーツだ。攻撃側と守備側双方が、それぞれじっくりチャンスを待つ。「ファウルで粘る」ことに面白みを感じるファンも中にはいるだろうが、チャンスを待つには時間が必要だ。試合が長くなるわけだ。
そこで米大リーグは時間制限を設けるようになった。秒単位で、投手と打者の「間」を規制するルール変更だ。結果、「時間短縮に効果があった」との結論が出た。ゲームを主催する側が、選手よりも観客の立場を尊重した格好だ。歴史の流れも、生産者(選手)よりも消費者(観客)が重視される方向へと変化している。
今後スポーツの世界でも「選手よりは観客」という流れが続くのではあるまいか。駆け引きを好む玄人筋の観客よりは「一定の時間内で勝敗が示された方がいい」と受け止める観客の方が多くなってきたのだろう。これはこれで時代の流れだ。