ここ数年、不漁が続くサンマ。北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次総会で、漁獲枠を約25%削減することで合意した。危機感を強める日本の主導によるものだ。
最盛期の2008年には35・5万㌧あった日本の漁獲量も、昨年は1万8000㌧にまで減っている。この海域では日本の他に中国、ロシア、台湾などがサンマを獲(と)っているが、それらを合わせた総漁獲量も14年には60万㌧以上あったのが、21年には10万㌧弱に減っている。
秋ごろ北海道や三陸沖に北上してきたサンマがたくさん獲れ、それがわれわれの食卓を賑(にぎ)わしてきたのだが、最近は外洋に出ないとサンマと出会えなくなり、その量も減っている。獲れる量が少なく燃料費も嵩(かさ)むから値も高くなるわけだ。
なぜそうなったかについて、さかなクンがNHKのウェブ欄の解説で挙げているのは、日本沿岸の海水温の上昇だ。「お魚にとって水温が1度上がってしまうというのは、私たちにとっては平熱が1度上がってしまうのと同じ」と、変温動物、魚の気持ちになって解説している。
最近は大きくて脂の乗ったサンマに出会えなくなった。これも同じ理由で、沿岸部はプランクトンなどのエサが豊富だが、外洋は“海の砂漠”と呼ばれるほど、実はエサが少ないからだ。
温暖化が根本原因となると、漁獲枠を減らしただけで資源が回復するという保証はない。しかし、他の魚では回復の実績があるのだから、今はそこに望みを懸けるしかない。