
理化学研究所などの研究チームが、国産の量子コンピューターを稼働させたことを各紙大きく報道している。スーパーコンピューター(スパコン)を上回る計算能力を秘めており、期待の大きさが分かる。
ただし今回のお披露目は今後、共に知恵やカネを出し合い、研究開発を続けていくパートナー探しの段階だ。「いろいろな方から使った反応をもらい、より改善を進めたい」(同チーム幹部)。
スパコンの正常な稼働には大量の電力が要る上、排熱の処理が大変だ。量子コンピューターは非常に低いエネルギーで計算ができる。ここにも今日のエネルギー問題がかぶさっており、開発が急がれるゆえんだ。
量子力学の特徴である「重ね合わせ」の原理が応用されている。約100年前、量子力学が生まれた時は、その理論のとっぴさにとても応用できるとは思えなかったようだ。アインシュタインの重力理論も同様だった。今や生活に欠かせないGPS発信機には、これらの理論が関係している。
真理自体も意味があるが、やはりその使命は社会生活への展開のように思う。ただ、この二つの理論に頼り切りの現代科学の在り方にいささか不満な人もいるようだ。
ノーベル賞学者の故南部陽一郎氏は来るべき科学を「ポスト・モダン物理学」(『クォーク』)と。量子コンピューター開発でも、光を利用する量子テレポーテーションという現象を使った型も考えられる。若い科学者出でよ! ということだ。