ユダヤ暦アダル月14日に当たる3月7日、イスラエルの祝日の中で最も華やかでにぎやかな「プリム祭」が全国各地で行われた。
プリムとはヘブライ語で「くじ」を意味する。紀元前5世紀のペルシャ帝国アハシュエロス王(クセルクセス1世)の時代、ユダヤ人の殺害を企てた宰相ハマンが「くじ」を引いて実行日を決めた。この計略をユダヤ人である王妃エステルが、決死の覚悟で王に知らせ、ユダヤ人は奇跡的に救済された。
祭りの日の夜と朝、ユダヤ人はシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)で旧約聖書のエステル記を子供たちと一緒に朗読する。ハマンの名が読まれると、ガラガラと音の出る道具を鳴らしたり足を踏み鳴らしたりして騒ぎ立てる。
ユダヤ人はこの祭りの日に、お菓子などのプレゼントを交換し合う。「オズネイハマン(ハマンの耳)」と呼ばれるジャムやチョコが入ったクッキーを食べるが、悪人の耳はとがっているからクッキーの形が三角なのだという。
また、大人も子供も奇抜なコスチュームを身にまとい街へと繰り出す。知人のユダヤ人はサムライの姿になっていた。普段は黒服と黒帽子に身を包む超正統派のユダヤ教宗教者の若者も、この日だけは赤や黄色の帽子をかぶった。
エルサレムだけは「シュシャンプリム」と呼ばれ1日遅れて祝う風習がある。前夜をテルアビブで祝い、翌日は聖地で再び祝うことができるという。
プリムでは、酔う程に酒を飲んでもよいとされる。祝杯に酔いしれた若者たちの歓喜の歌声が深夜まで響き渡った。
(M)





