
沖縄の海といえば、夏のマリンスポーツなどをイメージする人が多いだろう。だが、冬の海でも沖縄ならではの楽しみ方がある。それがホエールウオッチングだ。
普段は北方に生息しているクジラは、冬になると子育てのために暖かい沖縄や鹿児島付近の海まで南下してくる。そのため12月から4月ごろにかけて、沖縄ではホエールウオッチングのベストシーズンを迎える。
筆者も、クジラはテレビや図鑑で何度も見たことがあるが、一度は自分の目で見てみたいと思っていたため、沖縄在住の友人と一緒にホエールウオッチングを体験することにした。
気になるのは、クジラとの遭遇率だ。海に出たもののクジラに会えずに戻ってくるほど悲しいことはない。しかし驚くことに、われわれが参加したツアーのガイドによると、沖縄ではクジラとの遭遇率は9割以上とのこと。しかも、もしクジラと出会えなければ代金は返金する(ツアー会社による)という。それほど遭遇率が高いのだ。
中型のボートで港を出て30分ほど沖に進むと、クジラ探しが始まる。レーダーなどの機器は使用せず、クジラが海面から吹き上げる潮(ブロー)を肉眼で探すのだという。クジラは5分から15分に1回、息継ぎをするために水面に現れるので、その瞬間を見逃さずに注視する。
20分ほど経(た)ったころ、「見つけた!」とガイドの一人が声を上げた。その方角へゆっくりと船を進めると、クジラの親子を発見することができた。背びれや尾びれが水面から現れ、その大きさに驚かされた。やはり至近距離で見ると迫力がある。
1時間ほどゆっくりとクジラの動きを追った後、港へと戻った。短い時間だったが、とても満足感が得られたツアーだった。
(K)