教員志望者は減少傾向にあり、人材確保が喫緊の課題。その対策に文部科学省は、小中学校などの教員免許を最短2年で取得できる短大向けの「2種免許」の教職課程を、4年制大学でも特例的に開設可能にすることを決めた。
従来の制度では免許の取得が難しかった学生にも取りやすくし、多様な教育人材の確保を目指す。
現在、公立小中学校の教育の方向や内容に厳しい目が向けられている。一つは、2020年度の新学習指導要領実施に伴い、小学校の授業にも導入されるようになった「アクティブ・ラーニング」についての課題。
「主体的に学ぶ」が主眼の教育法の一つだが、子供たちが自らの立場や意見を表明するには「何よりも基本的な読み書き計算などの基礎学力が求められる」(小針誠著『アクティブラーニング』)ことが教育現場で次第に明らかになってきた。この対策が急務。
もう一つ。06年の教育基本法改正で「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」と家庭の役割を明示した。しかし条文の新設だけで家庭の教育力が向上するわけでもなく、むしろモンスターペアレントが増加し、その対応に苦心している。
特例の2種免許は25年度から開設予定だが、それを得て公職に就けばこういった難題にすぐ対応しなければならない可能性も。人数を揃(そろ)えるだけの急場しのぎの制度には決してしたくない。次代のビジョンを持つ新たな教育改革を併せて求めたい。