フィリピンを舞台にしたストーリーの映画をめぐり議論が巻き起こっている。
問題となっているのは南部ホロ島を舞台にした米映画「プレーン」だ。悪天候でイスラム過激派の勢力地域に不時着した旅客機のパイロットが、移送中の犯罪者などと協力しながら人質に取られた乗客を救うというフィクション映画となっている。
この内容に異議を申し立てたのは元アクション映画俳優のパディリャ上院議員で、南部が反政府勢力に支配されているかのような否定的なイメージで描かれていると指摘。映画テレビ倫理委員会に対し、国内での上映を禁止すべきだと要請した。また別の上院議員によると、マルコス大統領も予告編を見てショックを受けていたという。
このため、同委員会は「プレーン」の再審査を行う方針を示した。しかし、映画監督組合は「表現の自由に悪影響を及ぼす」として、上映禁止にする動きに反対を表明するなど国内でも意見は真っ二つに割れている。
フィリピンでは派手な銃撃戦が繰り広げられるテレビドラマなども普通に放映されていて、外国人からすると現実に銃犯罪が多いだけに、こちらもかなり物騒に感じる。だが、外国の映画で自分の国が悪く描かれ、プライドが傷つく気持ちも分からなくはない。
しかし、ここで上映禁止にしてしまうと今後、映画がフィリピンを舞台にすることを避ける可能性もあり、観光立国を目指す上でいささか不利に働くような気もするのだが…。(F)