Homeコラムカラスは民主主義の「敵」オーストリアから

カラスは民主主義の「敵」オーストリアから

オーストリアの国民議会が先月12日、改築後再オープンした。新議会の特徴は屋根のドームがガラス張りで議会内が明るいこと。国民議会の公式サイトにはガラス張りのドームについて「わが国の政治の透明性を象徴するものだ」とその意義が説明されている。

その数日後、オープンしたばかりの議会のドームのガラスにひびがはいっていることが判明した。巨額な資金を投入して建設された、オーストリアの政治のシンボル、議会のドームのガラスを壊したのは誰か。議会関係者も犯人捜しを始めたが、幸い、犯人はすぐに見つかった。議会建物周辺をすみかとするウィーンのカラスが石を落としてガラスを壊したというのだ。

ウィーンのメトロ新聞「ホイテ」は早速、「民主主義の殿堂、国民議会のドームのガラスが壊された」と報じ、犯人のカラスを「民主主義の敵」と付けて大きく報じたほどだ。

最近公表されたトランスペアレンシー・インターナショナル(TI)の「2022年腐敗認識指数」(CPI)によると、オーストリアは上位20位内から22位に後退してしまったことが明らかになったばかり。口の悪いウィーン子は「カラスは国会議員たちの腐敗に抗議しているのではないか」と話している。

ところで、ドームのガラスにひびを付けたウィーンのカラスは決して無名の存在ではない。議会に駐車していた議員の高級車が石などで傷つけられたことが過去、何度かあったが、その時も犯人はカラスだった。新しく改築された議会に喜ぶ国会議員たちを眼下に、今もカラスは自由に飛び回っている。(O)

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