わが家では冬、車のスパイクタイヤと同様、靴がスパイクシューズとなる。雪が降り、その雪が踏み固められ、あるいは、雪が解け始めた後に気温が下がり、路面が凍結している日には、靴底にスリップ防止用のスパイクを必ず装備する。
スパイクシューズとなった靴は、見掛けは良くなく、特に屋内では履きたくはないのだが、路面凍結でのスリップ防止には欠かせない。フィンランドに住み始めた当初、路面が凍結している場合には転ばないようゆっくりと気を付けて歩いたものだが、毎冬数回は転んだ。
雪が降り始めたあるクリスマス・イブの夜、犬と散歩に出掛けたとき、雪の下の凍結した路面に気が付かず滑って転倒し、手首の骨が折れた痛い経験がある。それ以降、冬の路面凍結の日にはスパイクシューズで外出する。
フィンランドでは冬の期間、毎月約2万人の人が滑ってけがをするという。法律で土地の所有および道路や街路のメンテナンスを担当する人は、転倒やけがを防ぐために滑りやすい路面を「十分かつ十分」に管理することが義務付けられている。自らの管理下の道路や街路で人が転びけがをした場合には、けがに対する補償がいる。
このため、市は雪かき専用トラックで公共道路の雪かきとともに転倒防止の砂を撒(ま)く。しかし、すべての公共道路を「十分」にメンテナンスすることは難しいのが実情だ。(Y)