前代未聞のタマネギの高騰が続くフィリピンで、ついに大手航空会社の客室乗務員による「タマネギ密輸騒動」が発生し物議を醸している。
密輸騒動を起こしたのはフィリピン航空の客室乗務員10人で、中東で購入した数キロのタマネギをそれぞれ持ち込んだが、無申告だったため関税局に没収され法的措置に直面した。
これに対し複数の上院議員は、個人消費にすぎないお土産のタマネギを取り締まる一方で、カルテルによる大規模な密輸は見逃されていると指摘。過剰反応だとして関税局を非難した。
タマネギ価格は一時、1キロ当たり700ペソ(約1700円)と、一般的な労働者の1日の最低賃金をはるかに超え、鶏肉よりも高くなる始末。庶民にはまったく手が届かない食材となり、市場やスーパーも取り扱いをやめるほどだ。
その結果、タマネギは高価なものの代名詞となってしまった。冗談好きな国民性もあり、ネット上では結婚式の花束の代わりにタマネギの束を持った新郎新婦の写真や、引き出物としてタマネギを配る様子が話題となるなど、国民は皮肉が効いた方法で政府を批判し人々の笑いを誘っている。
1月に入りようやく政府がタマネギの輸入を開始するなど価格高騰は一段落しているが、いつ庶民が気軽に買える価格に戻るのかは依然として不透明な状況だ。(F)