文系と理系に区分すること

年明け、文科省は理系人材育成に向けて数千億円規模の基金を創設し、理工農系の学部を増やすために3000億円を活用する方針を決めた。今後、79万人規模のIT人材の不足に備えて、文系の多い私立大学に理系学部の新設や転換を促す戦略である。

日本は大学で理系を専攻する学生比率が経済協力開発機構(OECD)平均より低い水準にあり、OECD並みに引き上げたいということのようだ。

人材育成に異論はないが、そもそも学部増をすれば理系学部に人が集まり、理系人材が育つと言うものでもないだろう。20年以上にわたり、子供たちの理科離れが進んでおり、いまさらの感がある。

理科教育に関して言えば、小中学校の学習指導要領改訂が大きな影響を与えてきたのは否めない。まず1990年の学習指導要領改訂で小学校低学年の「理科」が「生活科」に変わった。

2002年のゆとり教育から教科書が薄くなり、理科の授業時数は大幅に削減された。特に小3、中3は3分の2に激減した。ゆとり教科書が見直されたのは小学校で11年、中学校は翌年からである。

理科教育の充実を唱えている理科教師の左巻健男氏が書いた『こんなに変わった理科教科書』を読むと、理科教科書の変貌ぶりがよく分かる。氏が最も強く主張しているのが「生活科」の見直しである。

つまり、理系人材を育てようと思えば、感受性豊かな小学生低学年段階から自然に触れ、科学の目を養うことが大事ということだ。

そもそも中世の大学は神学から始まった。そして文系と理系の明確な区分がされるようになったのはごく最近のことである。

文理融合の人材が求められる時代、学部では文系、理系の垣根はできるだけ低くし、幅広く学べる環境が必要だろう。高校生の段階で文系か、理系かの二者択一を迫られるのも学生にとっては酷である。

(光)

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