「北国や家に雪なきお正月」(小林一茶)。東京では正月は雪が降らなかったが、北国では大雪が降る所も多い。その北国である信州生まれの俳人、一茶は、故郷で過ごした雪のない正月に感じるものがあったのだろう。
大雪で悩まされるのは大変だが、それでも雪のないのも味気ない。そんな気持ちかもしれない。気流子も東北生まれなので、冬に雪を見ないことはないが、豪雪地帯ではないので、あまり積もるということはなかった。ただ、足先から来る寒さは東京ではあまり経験したことがない。
久しぶりに正月休み明けに人と会うと感慨深い。その時に聞かれることは「正月は何をしていましたか?」ということ。
出歩かないことが多かったので「寝正月」というのが正直なところだ。そう言えば、年賀はがきを見ながら知人友人の消息を確かめていた。高齢になったせいか、年賀はがきの数が毎年減っていく。
仕事関係でやりとりをしていた人も少なくなるが、その中でもずっと送ってくれる人がいる。もう数十年のはがきだけの付き合いだが、それだけでも温かい気持ちになる。
幼い頃に母を失った一茶は15歳の時、義理の母との折り合いが悪かったために故郷を出た。その後、江戸で俳人として身を立て俳壇で広く知られるようになったが、50歳の時に故郷に帰って定住する。よく知られている句「是がまあつひの栖か雪五尺」がその覚悟を示している。五尺は約1㍍50㌢になる。