【上昇気流】(2023年1月日)

米下院議長に選出された共和党のマッカーシー院内総務=7日、ワシントン(EPA時事)

明治・大正の政治家、大隈重信侯は「政治趣味の涵養」の一文で「およそ政治ほど面倒なものはない」「何か功を為すことがあると、人の嫉妬心を招く。人間は嫉妬心の多いもので、ことに政治上に現れる嫉妬というものは最も甚だしい」と。洋の東西を問わないようだ。

米国議会下院では議長を選ぶ投票で多数派の共和党の票が割れ、同党を率いるマッカーシー院内総務が必要な過半数を得られない異例の事態が続いた。

当初、議長選出に反対した共和党の20人の造反議員たちの言い分は、概(おおむ)ね「選挙の時、マッカーシー氏はわれわれにつれなく当たったが、その一方で(自らの保身のために)トランプ前大統領に対してはいい顔をした」というもの。

延々15回目の投票でようやく決着し、議長の座が埋まった。途中、当のトランプ氏も「マッカーシー氏に投票する時だ」と呼び掛け事態の沈静化を図ったが、奏功しなかった。彼らは同氏の就任だけは許さじということだったようだ。

分裂が続けば法案や予算案で超党派の合意形成は一層難しくなるところだった。民主党は共和党の混乱を「歓迎」(米紙)し高みの見物を決め込んでいたが、それも米国民には不快だったろう。

大隈侯は政治家同士の嫉妬に食傷し、国民の公正なる批評によってのみ真の公論が成り立つとして「迂遠のようであるが、学校の教育より外にこれは望むところはない」と早稲田大学創設の動機を記した。むべなるかな、である。

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