【東風西風】ヤンバン主義と共産主義

韓国

新年などで帰省すると、普段使っている標準語ではなく、忘れてしまったと思っていた方言が思わず飛び出してくる。

自分も驚いてしまうが、相手もいつの間にか方言に切り替わって、いつの間にか過去の時代に戻ってしまうことがある。

長い間、都会生活をしていると、身なりも言葉遣いも変わってくるので、自分が変わってしまったように錯覚するが、実際はまだ根っこには青少年時代を過ごした故郷の習俗や文化が残っているといっていい。

それと同じように、主義や思想の中に生きていても、その深層には過去の精神文化や習慣が息づいていることがある。

在日の文化人である尹学準の著書『オンドル夜話』(中公新書、昭和58年刊)は、サブタイトルが「現代両班(ヤンバン)考」とあって、韓国や北朝鮮など朝鮮民族における旧制度の身分意識であるヤンバン主義(貴族主義)が現代に尾を引いて息づいていることを照らし出している。

本書に「ヤンバンと共産主義」という項目があり、身分の差別がないはずの共産主義社会でも、意外とヤンバン意識が色濃く残っていることを記している。

共産主義社会では、その出身成分が資本家やブルジョアなど上流階級ではなかったことが重要だが、その逆階級社会の中でも、自分のルーツがヤンバンであったことを誇る風潮があると指摘しているのは興味深いものがある。

(鷹)

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