超高齢化を映す温泉入初

長く単身赴任を続けている筆者はお正月、久しぶりに妻の住む山口県でのんびりと過ごした。神戸の有馬温泉では、2日に入初(いりぞめ)式を行うのが伝統だそうだが、筆者も温泉入初を行った。

都会から帰省した子供たちは大晦日(おおみそか)午後、車で25分余りの瀬戸内海を眼下にする温泉に行った。妻は年越しの準備で忙しい。筆者も誘われたが、混むのを予想し、スキップした。

「芋の子を洗うようだった」。早めに帰ってきた長男が開口一番、報告した。洗い場は順番待ちするほどだった。長女によれば、女湯はすいていたという。大晦日、女性たちは忙しいのだ。

元日は近くの八幡様に初詣。街の風景を味わいたくて、30分余りを歩いたが、売り家・空き地の多さが気になった。10年前の正月、約3万4500人だった市の人口は現在、約3万200人。人口減少の現実は街を歩くだけで分かる。

2日は、妻と一緒に入初に。午前中なら混まないだろうと思い、オープン時間直後、温泉に到着するように出掛けたが、施設近くの駐車場は「満車」で離れた所に誘導された。浴場に入ると、洗い場の順番待ちするほどではなくホッとする。

運気を高めるという「三柑(さんかん)の実(石榴(ざくろ)、桃、柑)」を仕立てた、鮮やかな赤紫色の薬湯「開運『卯湯』」が用意されるなど、湯に漬かりながら正月気分を満喫したが、お年寄りたちが黙浴する光景に否(いや)応なく高齢化を実感させられる。

妻によれば、女湯も混み合ったが、男湯と違うのはおしゃべりに花が咲いたこと。高齢の独り暮らしでは、自宅の風呂を洗うのがつらく、近所のおばあちゃんたちは温泉を利用するのだという。

家族とのんびりしながらも、ここでも超高齢化の現実を思い知らされる正月だった。

(森)

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