【上昇気流】(2022年12月19日)

キャンパス

今世紀に入って少子化で学生が集まらなくなり、大学のうちには統合という形で乗り切るケースが続いている。地元の教員を養成する教育系の大学が目立つ。

少子化の背景は同じだが、東京工業大学と東京医科歯科大学の統合は事情が異なる。ともにわが国でトップレベルの研究活動を行う大学だが、研究競争の世界的な激化により、生き残りのための強い危機感が背中を押したようだ。

記者会見では、理工系と医療系の「医工連携」により、新たな学問分野やイノベーションを創出することを目標に掲げると説明。両大学の総長はその目的を「異なる学術分野を融合させ、社会課題を解決していく」と。

明治期の日本の大学は産学間の交流が積極的に進められ、製鉄、医薬品、合成繊維などの分野で世界的に重要な技術が育っていった。その後、学究自体を重視するドイツ型大学の影響が大きく、いわゆる「学問の府」に収まっていった。

しかし、そのドイツでは大学と共同で実用的な研究を行う機関が全国に展開。マックス・プランク財団が国家と地方自治体の財源を先端研究所や研究施設につなぐ役割をしている。

今回の両大学の統合では、総長同士が2年ほど前から話し合ってきたそうで、2024年度中に実施される。相当あわただしいが、新大学は大学と研究機関の仲介役を任じることになりそうだ。成功すれば大学制度改革や大学の新しい役割の流れが生まれよう。期待したい。

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