12月になると、イスラエルのアラブ人が住む町や村は、クリスマスデコレーションで赤と緑に輝く。
エルサレム旧市街には「サンタハウス」と呼ばれる家がある。そこを訪れると、赤いコスチュームに白いひげを生やしたおなじみのサンタクロースの姿をしたカシシエ氏が出迎えてくれる。彼に会うために人々が列をなして並んでいるのだ。
カシシエ氏は言う、「エルサレムには、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教、多くの宗教が共存しています。私は全ての人に手を差し伸べます」と。アラブ系キリスト教徒の彼は、元プロバスケットボール選手で身長が190㌢あり、大柄で豪快なサンタにふんするにはもってこいだ。子供の頃、父親はサンタの格好をして喜ばせてくれた。15年前、彼は父親の衣装を見つけ、サンタになろうと決心したという。
デンマークの世界サンタ会議に出席し、米コロラド州にあるサンタ学校で学び、その後、サンタのハーバード大学と呼ばれているチャールズ・W・ハワード・サンタクロース・スクールで公式証明書を得て、エルサレムで唯一の認定サンタとなった。
訪れる子供たちは、みんなスマートフォンをねだるという。そんな子供たちに約束はしないが「祈りましょう。君が良い子のリストに載っているのなら、きっと願いが叶うでしょう」と答える。
「エルサレムが平和になれば世界が平和になる」と彼は信じる。良いサンタになる秘訣(ひけつ)は、いつも子供たちの質問に答えることだそうだ。(M)