忘れ物で知る日本人の親切心

新幹線の荷物棚

見知らぬ電話番号から着信があった。けげんに思いながら出たら、市の保健センターからだった。新型コロナ・ワクチン接種を予約していたのだが、時間を過ぎても来ないので、担当者が電話してくれたのだ。筆者の失念だった。

「ヤバイ!」と焦った。しかし、担当者が親切。「これから来ていただいても結構ですし、午後に予約を取り直してもいいですよ」という。おかげでその日午後、4回目を無事接種することができた。接種者があまり多くないこともあったのだろうが、担当者のなんと親切なことか。

筆者は最近、物忘れが多い。その少し前には、新幹線にバックパックを忘れたまま乗り換え大慌てした。普段は持ち歩かないキャリーバッグに気を取られ、荷物棚に載せたバックパックを背負うのを忘れたのだ。

乗り換えた電車の中で、背中が寂しいことに気付いた。慌てて次の駅で降り、駅員さんに忘れ物を伝えた。幸い、新幹線は終点で降りたので、バックパックがあればその駅で預かってもらっているはず。しかし、誰かが持っていってしまったら……。

不安を抱えながら、新幹線駅の忘れ物センターに連絡している駅員の“捜索”結果を待った。しかし、届いていないという。「駅のどこかで預かっていてまだ忘れ物センターに届いていないのかもしれない。翌日、電話してみてほしい」と、忘れ物センターの電話番号を書いた紙切れを渡された。時刻はもう夕方だった。

「困ったな。財布も入っているので」と、困惑する筆者の姿を見た駅員はちょっと思案した後、またどこかに電話した。しばらくすると「ありました!」。係員が車内で見つけて駅の総合案内所で預かっていたのだった。どうりで忘れ物センターにないはず。ほっと胸をなで下ろしながら、自分の物忘れに呆れる一方、日本人の親切心を再認識させられた。

(森)

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