
「かかりつけ医」とは「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」(日本医師会)。
政府は、このかかりつけ医について制度導入の議論を始めた。新型コロナウイルスの感染拡大で地域の医療機関が十分に機能しなかったことを踏まえ、かかりつけ医の機能を強化し医療・介護提供体制の充実を目指すという。
今後の論議を待ちたいが、いつでもどこでも医療が受けられるというメリットを損なうようなことはないか、唐突感もややある。その一方で、待望される医療制度改革の目の付け所として悪くないとも思う。
今、医療技術は日進月歩で、最先端医療が市中の医療機関でも提供され始めている。やがて高額医療が珍しくなくなるほどの勢いだ。医療における需給を市場任せにし、価格を自由に設定されると、所得の低い人などは医療のサービスをなかなか受けられなくなる恐れがある。
また、病院間における治療環境の差も無視できない。劣悪な病院は排除されるべきで、情報の開示も求められる。病院の質の向上を国民がきちんと促せるようにする必要がある。
そこで、かかりつけ医制度。病院間の競争原理が働くようにしながら、医療費削減もしっかりとする。「身近で頼りになる」かかりつけ医がよく病院と患者の間を取り持つ制度であれば歓迎したい。