沖縄に根付く伝統文化の一つが音楽だ。三線の音色で奏でられる沖縄ならではのメロディーを聞くと、沖縄の風景を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。
沖縄の音楽のルーツは琉球国時代に首里城の中で始まった「琉球古典音楽」と、庶民の間で広まった「民謡」にあるとされている。皆でカチャーシーを踊る祝いの歌や、エイサーの演舞などで歌われる曲など、さまざまな種類がある。
沖縄の民謡はうちなーぐち(沖縄の方言)で歌われるものが多く、沖縄にきて間もない筆者にはまだ歌詞の意味まで聞き取ることができないが、なぜか心をつかまれ、聴き入ってしまう。
その秘密は音階にあるようだ。沖縄の音楽は「琉球音階」と呼ばれ、一般的には「ド・ミ・ファ・ソ・シ」の5音音階(ペンタトニック)となっている。異国情緒あふれ、どこか懐かしく心地よいメロディーを奏でるこの音階が「沖縄らしさ」の正体だ。有名な民謡「安里屋ユンタ」や「てぃんさぐぬ花」「芭蕉布」などにもやはり琉球音階が使われている。
琉球音階は近年人気のポップスにも取り入れられている。石垣島出身の人気バンドBEGINの代表曲である「島人ぬ宝」や「涙そうそう」も琉球音階が基本ベースとなっている(曲全体は七音音階)。
この琉球音階を演奏するのに欠かせないのが伝統楽器の三線だ。よく似ている楽器に三味線があるが、素材や形、大きさなどが異なる。楽譜も独特で「工工四」と呼ばれ、合(ド)・乙(レ)・老(ミ)・四(ファ)・上(ソ)・中(ラ)・尺(シ)・工(ド)のように、音階を漢字で表している。
沖縄に移住したからにはぜひ三線を手に入れて、美しい琉球音階の音色を奏でてみたいものである。
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