
地球温暖化問題を話し合うCOP27が終わる翌日の11月19日は「世界トイレの日」。語呂合わせか何かで、トイレ業界が販売拡大で設定したのだろうと思い調べると、国連が2013年に定めたものだった。なぜ、この日なのかと言えば、01年11月19日が世界のトイレ問題に取り組む世界トイレ機関(WTO)が創設された日だったからだ。
WTOと言えば、世界貿易機関だけかと思っていたが、もう一つあったのだ。機関設立の立役者となったシンガポール人の社会起業家ジャック・シムさんには『トイレは世界を救う』(PHP研究所)という著書がある。
日本ユニセフによると、世界では3人に1人がトイレを使えず、毎日1600人が下痢性疾患で命を落としている。この現実を知れば、「トイレは世界を救う」は大げさでないことが分かる。冬になれば、温かい便座と温水で尻を洗ってくれるトイレを当たり前のように使っている日本人がトイレの日に考えるべきことはたくさんありそうだ。
そう思って、人は生涯どれくらいのうんちをするのか、ネットで調べると「数から科学を読む研究会」を発見。それによると、日本人(健康な大人)の量は1日平均200㌘。仮に80歳まで生きたとすると、生涯うんちは5㌧で、中型トラック1台分になる。
一方、外国の研究では、1人1日平均400~500㌘として、生涯うんち11㌧とする例も。これだと大型トラック1台では収まらない。しかも現在約80億人の世界人口は2050年に100億人に達すると言われる。総量はいったいどれくらいになるか。うんち、恐ろしやである。
このうんちをどう処理するか。トイレ問題は、温暖化に劣らず人の命に直結する環境問題。だから、17あるSDGs(持続可能な開発目標)の一つに「安全な水とトイレを世界中に」がある。うんちをうまく処理・再利用するトイレの普及に、日本が果たす役割は大きい。
(森)