
沖縄で開催中の全国国民文化祭「美ら島おきなわ文化祭」の開会式が10月23日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで行われ、天皇皇后両陛下が御出席された。
沖縄での祝い事に欠かせない琉球舞踊「かぎやで風」で幕開けすると、いよいよ式典開始。天皇皇后両陛下が入場されるのに合わせ司会者が「ご起立ください」と促すと、会場の参加者は何のためらいもなく起立した。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から参加者は収容人数の約半分に抑えられたが、会場からは自然と拍手が起こり、多くは手を振って両陛下をお迎えした。
引き続き、歌手の三浦大知さんが国歌を斉唱した。三浦さんは、2019年の天皇陛下御在位三十年記念式典で上皇上皇后両陛下が作詞作曲された「歌声の響」を歌っており、納得の人選だ。
さて、沖縄では国歌斉唱の際、学校の卒業式など、どんな集まりでも起立しない人は一定数いる。この日、招待された革新系議員や、普段は起立しない地元メディアの記者たちも起立していたことは驚きだった。
開会式のメインプログラムである、琉球国時代から沖縄戦、米国統治時代を経て現代までの沖縄の歴史を描く歌と踊りのパフォーマンスが終わり、両陛下が退場される時も全員が起立。拍手が鳴りやまず、沖縄らしく指笛も響いた。
上皇陛下は19年に退位されるまでの間、11回にわたって沖縄を訪問されたが、1975年には糸満市の病院と慰霊碑の2カ所で左翼過激派に瓶などを投げつけられる事件があった。
こうしたことから沖縄の反皇室感情が強いと誤解されがちだ。波上宮(那覇市)の大山晋吾禰宜は「沖縄は日本一の尊皇(そんのう)県」と話しているが、開会式に参加して納得した。
(T)