【上昇気流】(2022年11月1日)

東銀座にある歌舞伎座

歌舞伎界を代表する大名跡、市川團十郎が9年ぶりに復活した。市川海老蔵さんが十三代目團十郎を襲名し、東京・歌舞伎座での「顔寄せ手打式」で「歌舞伎のために生きられる團十郎となれるよう、日々精進する覚悟でございます」と決意を述べた。

当初は2020年に襲名する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期されてきた。そんな試練を経て、待ちに待った襲名の日を迎えたわけだが、準備と覚悟は十分と思わせるものだった。襲名記念の特別公演では、市川宗家の家の芸「歌舞伎十八番」の「勧進帳」で弁慶を演じた。

顔寄せ手打式をテレビで観(み)たが、実に壮観だった。尾上菊五郎さん、松本白鸚さん、「勧進帳」で富樫を演じた片岡仁左衛門さんら大先輩も感慨深げな面持ちだった。

手打式を見るたびに思うのは、歌舞伎界は一つの家族・親戚なのだということだ。実際に血縁関係もあるし、それほど強くない場合でも芸の継承ということで師弟関係や兄弟弟子の関係も生まれる。

特に家族的だと感じるのは、先輩の役者のことを「○○のお兄さん」と呼ぶことだ。もちろん役者同士ライバルでもあり、必ずしもみな仲が良いということはないだろう。それでも、やはり歌舞伎という伝統芸能を共に担っているという一種の同志的、家族的な結合を感じさせる。

このように親子、先輩後輩の一種理想的な関係がなぜ歌舞伎界では続いているのか。研究に値するテーマである。

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