「この一冊に、ありがとう」の標語の下、第76回「読書週間」が始まった。終戦間もない昭和22年、平和な文化国家を目指し制定され、その甲斐(かい)あって日本は世界有数の読書国となった。日本に来た外国人が電車の中で読書する日本人の姿に感心するまでになった。
最近は電車でスマートフォンを覗(のぞ)いている人が増えた。それでも結構、文庫本を開いている人を見掛ける。忙しいサラリーマンにとって貴重な読書時間だ。
そんな人のために、小田急電鉄が特急ロマンスカーで書籍1冊分の内容を10分程度で読める「本の要約」を無料で提供するサービスを開始した。産経新聞の東京版によると、車内で無料の公衆無線LAN「Wi-Fi」に接続すれば、スマホなどで閲覧できる。毎月10冊を厳選して提供するという。
通勤時間をどう活用するかは、重要な問題だ。特にロマンスカーを利用するような客は、結構忙しい人が多いだろう。そこに小田急は着目した。
実は気流子も、たまにロマンスカーに乗ることがある。乗車時間は30分ほどだが、指定の座席に座って本を広げると、通常の電車よりも集中力が増し、読書が進んだ感じがする。
困るのは、近くの座席で仕事が終わって一杯気分の会社員同士が、缶ビールを飲みながら会話をしていたりすると、うるさくて読書に集中できないことである。幸か不幸か、新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)でそんなこともなくなったのは、ある面寂しい気もする。