
テレビの情報番組の中で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が売春で資金集めをさせているとの印象を与える発言をされたことなどを挙げ、同連合は読売テレビとTBS、当の弁護士らに計6600万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴した。
記者会見した家庭連合は「ひどい報道で信者が被害を受けている」とし、一般信者に対する脅しなどの事実を明らかにしている。脅迫を受けても個人ではなかなか闘えない。
以前、同連合の信者が監禁され棄教を迫られることが頻発した。被害者が訴えても家族や親族の背後に職業的改宗活動家らがおり、裁判では家庭内問題として退けられる場合が多かった。
そんな中、1995年から12年5カ月間も都内のマンションなどに拉致監禁され、脱会を強要されていた事件が発覚。最後に邪魔者扱いされ解放された信者の後藤徹氏は、監禁に関与した親族と職業的改宗活動家らを訴えた。
その結果、下級審を経て最高裁は2015年に被告の上告を棄却。被告に総額2200万円の損害賠償の支払いを命じ、後藤氏の勝訴が確定した。裁判に懸けるすさまじい執念や、この間に後藤氏の支援者、支援団体の輪が広がり、世間に拉致監禁の実情が明かされたのが勝因の一つだという。この種の監禁は以後起きていない。
家庭連合の今回の提訴で代理人弁護士は「毅然(きぜん)とした態度を取る」と強調した。裁判で正義の在りかを厳しく問い、明らかにしていく時代だ。