フィリピンでは9月から、世界一長いと言われるクリスマスシーズンに突入し、ショッピングモールでは早くもツリーやデコレーションが売られ始める。
そんなクリスマスの風物詩に路上のクリスマスキャロルがある。といってもロマンチックなものではなく、ストリートチルドレンが空き缶などで作った手製のドラムを叩(たた)いて歌いながら、公共交通機関のジプニーなどに乗り込んで乗客に金銭などの支援を求めるというものだ。
しかし、車の間を走り回ったり、ジプニーから飛び降りたりして交通事故に遭うケースも少なくない。
このため、セブ市警察は本格的なクリスマスシーズンに備え、このようなストリートチルドレンの保護を実施する方針を示した。そして市民に、ストリートチルドレンに施しを与えるのではなく、社会福祉課に報告して保護活動を支援するよう呼び掛けた。
このような金銭や食べ物をねだる子供たちは、犯罪シンジケートによって組織化され搾取されている場合もあるのだ。クリスマスキャロルならまだいいが、中にはシンナーのような薬物を吸って、集団で引ったくりや窃盗を働く子供たちもいる。ただでさえクリスマスは犯罪が増加する傾向にあるが、特に今年は強盗が増えている印象だ。明るいクリスマスの陰でコロナ禍明けの経済復興から取り残された人々が、依然として苦しんでいる状況も垣間見える。(F)