出世払い方式の奨学金

奨学金の説明を受ける親子

日本では学部生の2人に1人が何らかの奨学金制度を活用している。多くは返還義務がある貸与型で、言わば低利子の教育ローンである。そのため卒業後、低所得を理由とする返還滞納や奨学金破産が問題となっている。4カ月滞納すると、民間の債権回収会社から督促文書が送られ、ブラックリストに登録される。

そこで政府が9月から導入検討を始めたのが「出世払い型奨学金」である。

「出世払い型」とは在学中の授業料を国が立て替え、卒業後に所得に応じて返金する制度でオーストラリアの「所得連動返還型学生ローン」に倣ったものだ。

既に国の第1種無利子奨学金には「所得連動返還方式」が導入されているため、まずは大学院生対象に導入を検討し、徐々に対象を広げていきたい考えだ。「出世払い」というネーミングがふさわしいかどうかは別として、政府の意気込みは伝わってくる。

少子化対策関連の調査では、理想の子供数を持たない理由に「子育てや教育費にお金が掛かり過ぎる」が最も多い。「出世払い型」が学部生にも広がれば、親の負担感が軽くなる上に、経済力の差による教育格差も是正できる。

ただ、親の財力に頼らず自力で大学教育を受けられる制度でもある。学費の高騰が大きな社会問題となっているアメリカでは卒業時に平均2万2000㌦の学生ローンを抱えていると言われている。親に頼らず、各種奨学金を活用し、自力で大学に行くアメリカのシステムが必ずしもうまくいっているわけではない。

卒業後も若者が多額な奨学金返還を理由に結婚や職業など、人生の選択が狭められない制度が望ましい。

親としては奨学金制度が充実するのはありがたい半面、子供から頼りにされないというのも寂しいもの。親が家計を切り詰めて教育費に回すことを親の義務としてやってきた。これはこれで大事にしたい。

(光)

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