トップコラムロシア人入国は不快か フランスから

ロシア人入国は不快か フランスから

今年の夏、ロシア人観光客をパリやフランス南部で見掛けることは結構あった。コロナ明けということもあり、とにかくバカンス客を呼び込みたいレストランやカフェだが、そこにはウクライナ難民も働いており、事情は複雑だ。

欧州連合(EU)は最近、域内の国に入国するロシア人に対して規制のハードルを上げたが、完全に締め出す措置は取らなかった。とはいえ、EU・ロシアの航空会社は双方の領空飛行が禁じられているので、大半のロシア人たちは基本的に陸路を伝ってヨーロッパにバカンスに来ていた。

陸路とはロシアと国境を接するフィンランド、エストニアなどのバルト3国だ。

無論、ウクライナ戦争の影響とコロナ明けということもあり、今夏のロシア人旅行者に最も人気のイタリアとキプロスでさえ、例年ほどには回復せず、フランスやスペインも例年ほどにロシア人は戻っていない。それにロシア人移民への風当たりもヨーロッパでは強いままなので、もろ手を挙げて歓迎ムードとはいえない。

では、バルト3国のロシア人入国禁止に反対したフランスはどう考えたのか。フランス人識者の間では「鉄のカーテンを下ろすのは時代遅れ」という意見が多い。「有能な研究者や芸術家との交流を妨げるのは愚か」という意見も耳にする。

もともと多民族の国であるフランスでは、差別は禁じられており、さまざまな民族、人種が行き交う長い歴史的経験を積んでいる。ただ、そういうフランス人も旅行者に紛れ込んでロシアからスパイやテロリストが入って来ることを心配しているのは当然だろう。(A)

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