【上昇気流】(2022年9月1日)

猪苗代町

福島県猪苗代町に中ノ沢温泉がある。安達太良山の西側のふもとで標高740㍍の高原地帯。西の山々は裏磐梯で、二つの山の間を国道115号が南北に走り、猪苗代町と福島市を結んでいる。

自然環境に恵まれた静かな温泉街だ。この温泉街でこけしが作られるようになって100年。ここは明治末期から沼尻鉱山の開発に伴って発展し、大正2年には沼尻軽便鉄道が開通した。

温泉地としてにぎわうようになると、土産物の需要が高まり、土産物屋では木地職人を招いて制作に当たらせた。この温泉地で独自のこけしを考案したのは宇都宮出身の岩本善吉だ。人形の目は大きく、その周りが赤く染められている。

国道115号を福島市側に越えた「原郷のこけし群 西田記念館」で「中ノ沢こけし誕生100年」が開催中だ(11月30日まで)。善吉から息子の芳蔵へと引き継がれ、「たこ坊主」と言われたこけしの系譜を紹介している。

この温泉街は、江戸時代中期から地元の人々の湯治場として利用され、源泉は沼尻温泉と同じで、毎分1万3400㍑の湧出量は日本一なのだそうだ。だが、沼尻軽便鉄道は昭和44年に閉鎖となり今は存在しない。

ここから115号を10分も車で北に行くと、農産物の直売店が並んでいて、珍しいものがいっぱい。山ナメコ、香茸、網茸、乾燥マムシ、オオスズメバチ、マタタビの実、ジャンボニンニク、ノブドウ。香茸は高級キノコで、松茸より高価なのだ。

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