トップコラム【上昇気流】(2022年8月31日)

【上昇気流】(2022年8月31日)

文部科学省

文部科学省は、デジタルや脱炭素など、成長分野を担う理工系人材の育成強化に取り組む大学や高等専門学校を支援し、学部や学科を再編する時の初期費用などを援助するという。数千億円規模の基金創設の方向で、壮大なプランだ。

1999年に当時の小渕恵三首相が提唱した産官学共同研究開発計画「ミレニアム・プロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)」を思い出す。

そのミレニアム計画も含め戦後、保守政権はその時々に車、半導体、環境、宇宙開発など技術革新のテーマを見定めてそのための戦略を決定し、産官学が力を合わせて実現に努めてきた。その社会的機運の盛り上がりの中で、大学の統合、学部・学科の再編などが図られ、理工系人材の層が厚くなった。

今回もそう願いたいが、不安もある。「デジタルや脱炭素の成長分野の強化」と言っても、国はそのパーツ、パーツの技術を使い、どういったインフラを構築して日本の新しい社会をつくろうとしているのか、なかなか見えてこない。

早い話、政府が2050年までの達成を目指すカーボンニュートラルは本当に実現できるのか、具体的な道筋も立てられないでいる。これでは大学規模また学部、学科の積極的な再編のための推進力は得られず、形だけの改革で終わってしまう。

カーボンニュートラルの達成には、日本が培ってきた原子力の技術が大きく貢献できる。政府は新増設を含む原発の一層の活用を推進してほしい。

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