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原子力潜水艦の保有について議論が盛んになってきている。現在の保有国は米英仏中露印の6カ国だが、オーストラリアが昨年、米英との新たな安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を通じて原潜を導入することを決めた。韓国や北朝鮮も保有を目指している。
そういう中で、世界6位の広さの排他的経済水域(EEZ)を有し、「自由で開かれたインド太平洋」構想を掲げる日本が、通常型潜水艦で安全を守れるのかという議論が起きるのは当然である。
原潜であれば3、4カ月は潜航が可能だが、通常型潜水艦の場合、電池容量が少ないため、3、4日に1度、海面に浮上して行動しなければならない、潜水艦に求められるステルス性は損なわれる。常に電池容量を気にしなければならない――などなど、元潜水艦艦長を務めた海上自衛隊OBの講演を聞いて、その差に愕然(がくぜん)とさせられた。
一方、かつて米海軍では原潜乗組員は結婚相手が見つかりにくいという問題が起きた。しかし、これは乗組員の給料を増額することで解決したという。元艦長曰(いわ)く「世界どこでも、亭主元気で留守がいいんですね」。
この一事からも、国防にはお金がかかることは明らかだ。それなのに防衛費のGDP(国内総生産)比は2%の数字ありきでは駄目だという意見が、さも正論のようにまかり通っている。
そのくせ福祉関連の予算などは数字が先行しても何も文句は出ない。ひどいダブルスタンダードである。