
玉城デニー知事はこのほど、第11回沖縄平和賞を「ひめゆり平和祈念資料館」(沖縄県糸満市、普天間朝佳館長)に授与すると発表した。資料館は、公益財団法人沖縄県女師・一高女ひめゆり平和祈念財団が運営している。
同財団は、戦時中に沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校から沖縄陸軍病院に動員された学徒と教師の生存者らが、1960年に設立した同窓会が前身となっている。1989年に資料館を設立し、生存者が証言したり展示品を通して沖縄戦の実相を伝えてきた。沖縄の修学旅行の訪問先としては定番となっており、開館からの入館者数は延べ2300万人を超えているという。
「沖縄平和賞」は、「沖縄の持つ特性を生かして、沖縄の視点から新たな国際平和の創造を目指し、沖縄と地理的・歴史的に関わりの深いアジア太平洋地域の平和の構築・維持に貢献した個人・団体を顕彰するもの」と意義付け、授賞式は2年に1度行っている。
選考委員会は受賞理由として、「戦争の悲惨さや命の尊さを地道に伝えてきたことで、全世界に沖縄が平和の発信拠点であることを浸透させてきた」とし、継続的な活動は「復帰50年の節目の顕彰に最もふさわしい」と評価した。
前回2020年はNPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)が受賞。過去には、カンボジアやミャンマーなどに医師や看護師を派遣するNPO法人「ジャパンハート」、災害や紛争で苦しむ人々を助けるNPO法人「難民を助ける会」など、国際人道支援で活躍するボランティア組織が多く受賞している。沖縄関係の受賞は「沖縄・ラオス国口唇口蓋裂患者支援センター」に次いで2例目だが、沖縄に根差して活動する団体が受賞したのは今回が初めてだ。
(T)