トップコラム【上昇気流】(2022年8月24日)

【上昇気流】(2022年8月24日)

鎌倉殿の13人 北条義時邸宅跡

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、北条政子が「こんなことがいつまで続くんです?」と6歳年少の弟北条義時に言う。義時は「私に言わないでください」と答える。「私だって分からない」という意味だろう。

鎌倉幕府内部で陰惨な権力闘争が続いて、幕府の有力者が何人も殺害された時期の一場面だ。源頼朝亡き後、義時は幕府内で最もよく将来を見通す人物だ。その彼でも未来は分からない。

内部の権力闘争も戦争も、そこは同じだ。相手があることだから、何かの行動を起こせば、そのことが新たな事態を生み出す。その連鎖が次々と起こる。簡単には終わらない。

この世はカオス(混沌(こんとん))と言われる。カオスでなかった歴史はない。全部が終わった段階で初めて「あれはああだった」と取りあえずまとめることは可能だが、事態の渦中にいる人間にはそれが分からない。

うっとうしい話だが、カオスの中を右往左往しながら将来を見据えるしかない。義時などはそうした眼力には秀でていた。だから北条幕府はできなかったが、北条政権は鎌倉時代を通じて続いた。

どんな戦争であれ、まずは終わってほしい。当事者自身もそう思っているだろうが、なかなか終わらない。あらゆる物事には勢いというものがあるから、それが失われないことには終わらない。人類の歴史はそうしたことを性懲りもなく繰り返してきた。「平和を祈ればそれでよし」というわけにはいかないことだけは確かだ。

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