トップコラム【上昇気流】(2022年8月15日)

【上昇気流】(2022年8月15日)

太平洋戦争 終戦記念日

終戦の日を迎え、今年2022年は終戦から77年。77年というのは明治維新から太平洋戦争終結までの期間と同じ長さだ。日本社会は敗戦により急激な変化が生じたが、伝統産業の中には急激な落ち込みを見せたものも少なくない。

和紙もその一つで戦後、需要が落ち紙漉(す)きを行う人が減って後継者不足になった。映画「つむぐもの」(石倉三郎主演)は、越前和紙の伝統を守り切れず苦悩する職人の姿を描き涙を誘った。

ところが近年、ハイテク機器に必須の高品質の繊維素材需要が伸び、和紙は息を吹き返している。和紙繊維で編んだ靴下が宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙滞在用被服に採用され、日本人女性宇宙飛行士と共に宇宙へ旅立ち話題に。宇宙関連機器に欠かせない素材となった。

和紙と同様に伝統技術だったのが陶磁器。これは京都でセラミックス産業として復活し、ハイテク、精密機器や半導体の製造に欠かせなくなった。全国には戦前からの陶磁器の産地が少なくない。地の利を生かした中小の企業復活を期したい。

さまざまなセラミックス素材の成形技術や素材開発のための研究所、工場の立地は、地方再生につながるはず。一事が万事、和紙や陶磁器のほかにも、伝統産業の技術の中にはハイテク産業に転用可能なものもある。高い技術を生かし、新たな活用先を探すことが大切だ。

令和の新しい国造りを目指す中での伝統技術の継承、発展ということになろうか。

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