
19世紀半ば、南北戦争最中の米国に貧しい少年がいた。ミシガン州デトロイト近郊を走る列車内で新聞やキャンデーを売ったり、駅で働いたりしていた。ある日、列車に轢(ひ)かれそうになった幼い男の子を危険も顧みずに助けた。
その子の父親は命を救ってくれたお礼に電信技術を教えることを約束した。それに感動し目を輝かせた15歳の少年は名をトーマスといった。後に電球や蓄音機など1000件以上の特許を取って発明王と呼ばれたエジソンのことである(『天才の炎 大発明家たちの生涯』東京図書)。
「天才とは1%の霊感(インスピレーション)と99%の努力の賜物」。エジソンはそう語っている。米国の建国の父、ベンジャミン・フランクリンの「天は自ら助くる者を助く」の格言と通底している。
『納棺夫日記』の著作で知られる青木新門さんの訃報が届いた。青木さんが納棺夫になったのは、死者から発する「不思議な光」に出会ったからだ。親鸞が「如来は光なり」と言い、イエスが「我は世の光である」と告げた、その「光」だと青木さんは確信している。
この霊的体験がなければ、米アカデミー賞の受賞映画「おくりびと」も世に出なかった。メディアは挙げて「霊感商法」批判だが、商法はともあれ霊感まで否定するのは森厳な宇宙の理(ことわり)に反する。
きょうから、ご先祖様がこの世に戻ってこられるお盆が始まる。御霊を静かに迎えるのが日本人の心情である。