トップコラム【上昇気流】(2022年8月11日)

【上昇気流】(2022年8月11日)

蔵王のお釜

きょうは山の日。山に親しみ、山の恩恵に感謝する日である。第6回の全国大会が山形県の蔵王を主会場に開かれ、ふもとの山形市と上山市では記念式典やトークイベントが行われる。

県名に「山」の字が入っているように、ここにはいくつもの名峰がある。『日本百名山』に数えられただけでも蔵王山、鳥海山、月山、朝日岳、飯豊山、吾妻山の6座がある。秀麗な山容、ブナ林、高山植物が登山者を魅了する。

古くから地元民の暮らしと深く結び付き、山岳信仰の対象となってきたが、その魅力が広く知られるようになったのは戦後。磐梯朝日国立公園の指定は1950年だ。登山道路や山小屋の整備が行われるのはそれからのこと。

『日本百名山』の著者、深田久弥が飯豊連峰を1週間かけて縦走した時、ガイドを務めたのは藤島玄。彼は25年夏から山の踏査を始め、開発に力を注いだ人物だ。深田に「飯豊のような山は他にはない」と自慢した。

深田は「その言に偽りのないことを知った」と記し、大きな残雪、豊かなお花畑、広々とした尾根、小さな池の魅力を語って「気持ちのいい幕営地に事欠かない」と紹介。主峰の峰々の堂々たる姿にも感服した。

山形県の吉村美栄子知事は参加者たちに「『山形らしさ』を感じていただきたい」と述べたが、どこに感じるかは人それぞれ。藤島は深田をガイドして、山旅の始めと終わりは温泉宿だった。県内には名湯もたくさんある。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »