【東風西風】「カネの神」に捧げられた五輪

東京五輪

東京五輪・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事のコンサルタント会社が大会スポンサー企業の紳士服大手AOKIホールディングスから計約4500万円を受領していた問題で、東京地検特捜部は強制捜査に着手した。

高橋氏は広告大手の「電通」の元専務。組織委は大会スポンサーの募集業務を担う代理店に電通を指名。同社が組織委マーケティング局を経由して幹部がスポンサーを事実上選定していた。マーケティング局は3割超が電通出身者で構成。電通にも多額の手数料収入が入った。

五輪はアスリートにとって最高峰の晴れ舞台だ。ボランティアら数多くの人々の尽力があってようやく開催にこぎ着けた。しかし開催前から被災地不在の不祥事にまみれ、常に利権の影がつきまとい、一部の関係者のための「商業五輪」ではなかったかとの思いを国民に抱かせた。

「五輪汚職」が摘発されれば、日本の五輪史の大きな汚点となろう。現在のオリンピックは、カネとは切っても切れない関係にある。しかし五輪という文化が提供するのは、名誉であったり感動であったりというカネでは買えない価値だ。

古代オリンピックはゼウス神に捧(ささ)げる祝祭的なセレモニーだった。いつしかアマチュア規定も失われ、今やプロのスポーツショーの観のある「祝祭資本主義イベント」となった。捧げる対象はテレビ局、スポンサーという「カネの神」だ。このままでいいのか。

(荘)