【上昇気流】(2022年7月31日)

高齢者

「七〇歳になった。/なってしまった。/真壁雲斎の齢を、八歳も越してしまった」――。山岳小説や伝奇小説などで知られる作家の夢枕獏さんのエッセー『仰天・俳句噺』から。真壁雲斎とは小説「キマイラ」に登場する武道の達人だ。62歳の雲斎のことを老人と30代の夢枕さんは書いたが、自分が70歳になって、60代は老人ではないと実感を込めて記している。

高齢者は身体のあちこちに不調が出やすい。日常動作も意識的にしないと自然にはできなくなったりする。積極的に運動をしないと衰えが生じてくる。

気流子も、できるだけ散歩することにしている。駅に向かう道は商店街だが、一歩裏道に行くと、空き地や小さな公園、田畑があったりする。

丘陵地にはやや低木のクリの木畑、野菜畑、そしてビニール畑がある。わずかな緑地だが、それを見るとほっとする。残念ながら、どのような種類の野菜を植えているかはあまり分からない。スーパーなどで買う野菜は、全体の一部でしかないからだ。

畑の一角に細長い茎を伸ばしている植物の一群がある。ある日、畑を通りかかった時、その辺り一面の鮮やかな黄色が目に入った。ヒマワリだった。ちょっと前までは見た目でトウモロコシだと思っていたので、ひどく驚いた。

通りかかった夫婦も見とれていたほど。ヒマワリは、真っすぐに太陽に向かう性質がある。なぜかは分からないが、見ているだけで勇気が与えられた気がする。