【上昇気流】(2022年7月30日)

山鉾巡行

新盆の7月が瞬く間に去っていく。今年は京都の祇園祭で山鉾(やまほこ)巡行が3年ぶりに行われ、今週日曜日には「後祭」の巡行で「鷹山(たかやま)」と呼ばれる山鉾が196年ぶりに蘇(よみがえ)った。晴天下の都大路を祇園囃子の音と共に堂々と巡行した。

公益財団法人「鷹山保存会」によれば、鷹山は応仁の乱以前から巡行していた由緒ある山鉾だ。文政9(1826)年の巡行で大雨に遭って懸装品を汚損し、翌年から加列せず再興を期していたが、幕末の「禁門の変」(64年)の兵火で焼き落ちた。

それを復活させたのは、町衆の努力の賜物(たまもの)だろう。これぞ「レジリエンス」と感じ入った。

レジリエンスとは、動物や植物などの生命体の治癒力や回復力のことをいう。これを社会に適用し自然災害に対しても国家の回復力を高めるのが「ナショナル・レジリエンス」。そう、安倍晋三元首相が掲げた「国土強靭(きょうじん)化」だ。

提唱したのは藤井聡京都大教授で、強靭化とは「どんな衝撃があっても乗り越えられる性質」をいい、柳の木のような「しなやかさ」を意味するという(『列島強靭化論』文春新書)。巨大地震に襲われても致命傷を受けず、再び柳の木のように元通りになる。そんなしなやかで強靭な国を安倍氏は思い描いた。

その突然の死で心が折れるような脆弱(ぜいじゃく)な精神では到底日本を取り戻せない。鷹山のような堂々たるレジリエンスこそ安倍氏の願うところだろう。7月は何を思ってもこの人に帰結する。