とにかく暑い。クーラー完備の日本の夏の日々が懐かしくなる。アルプスの小国オーストリアでは冬対策は万全だが、灼熱(しゃくねつ)の夏対策はかなり遅れている。そもそも35度以上の夏は想定外だ。
「暑い、暑い」と嘆いていても仕方がないので、暑い日々の過ごし方を考えてみた。
①最もオーソドックスな過ごし方は、午後には部屋のカーテンを下ろし、日差しが部屋に侵入しないようにし、扇風機から届く生暖かい空気を受けながら過ごす。冷蔵庫で冷やしたミネラルウオーターでも飲めばいっそういいだろう。厳禁はビールなどアルコール類だ。飲んだ瞬間はいいが、その後、体はじわじわ熱くなる。逆効果だ。
②やむを得ず外出しなければならない場合、汗が出てきたら近くの教会に入り、しばらく休息すればいい。教会の中はひんやりとしていて、過ごしやすい。教会側も祈●(「示す」の右に「濤」のつくり)(きとう)室に入ってきた人が信者かそうではないか、といったやぼったいことは聞かない。現地のメディアは「ウィーン市で最も夏を過ごしやすい教会」を特集した。市民は普段足が遠ざかっていた教会に行って、ひんやりとした教会建物の快さを束の間だが堪能できる。
③夜になっても気温が下がらない場合、「幽霊の話」のビデオを見ればいい。ウィーンは古い建物が多く、必ず一つや二つの「幽霊」話は伝わっている。ウィーンを含め、欧州はその点、恵まれている。欧州の幽霊は、案外人間的で、あと腐れがない。(O)