早々と梅雨明けし、熱帯夜、真夏日の続いた6月下旬から2週間余り、入院した。医師の診断は心房粗動。心拍数が1分間に150前後、全身に血液が回りにくくなり、心房が“バクバク暴走”している状態だった。
地域の中核病院の救急外来に駆け込んだ。心臓に電気ショックを与えリセットする治療と首筋と鼠径(そけい)部からカテーテルで電極を入れ、バクバクの原因となっている電流をカットする治療だった。順調にいけば1週間の入院で治療を終えるはずだったが、検査や治療の予約が入っていたり、担当医の手が空かなかったり、リハビリ、土日が挟まったりで延び延びになった。
さまざまな検査中に脳貧血を起こして意識を失った。医師、看護師など7~8人が緊急招集されストレッチャーで治療室に運ばれた。100㌔級の体重に「重いな~」という声が聞こえて、「大ごとになってすみませんね」と言うと「大丈夫ですよ」と“天使のような優しい”声がした。
造影剤を注射してCT画像撮影など行ったが、一番苦しかったのが食道経由のエコー検査だった。卵くらいの頭に水道のホースくらいの太さの管をのみ込むのは辛(つら)かった。
午前と午後、血液検査で血を抜かれ、血圧、脈拍、血糖値、酸素供給量などの検査を繰り返し受けた。うまい看護師もいれば、2、3度失敗して“下手くそ”と叫びたくなるような人もいる。カーテンの開け閉めなどが荒い看護師が注射の名人だったりした。
患者の方にも、糖尿で入院中、深夜おなかがすいたとアンパンを食べて看護師に叱られるなどいろんな人が居た。認知症気味の人が夜な夜な看護師に「いつ帰れるの?」と何度も聞き返す。耳が遠くなっているようで、大きな声でやりとりしている。病院自体、医師・看護師だけでなく、経理とか総務、介護、掃除など、いろんな立場の人が優しく、丁寧に説明してくれ、社会の縮図、と思わされた。
(和)