脳を活性化する音楽の力

角野隼斗(Wikipediaより)

多くの女性ファンを魅了する若手音楽家に、角野隼斗(すみのはやと)という天才ピアニストがいる。

春ごろ、姉に誘われて川崎市の音楽ホールで初めて生演奏を聴いた。まず驚いたのは会場のほぼ9割以上が女性だった。

女性を魅了する彼の魅力はいろいろあるが、一つは女性好みのマスクと超人的で華麗な超絶技巧にある。もう一つは彼が東京藝術大学出身ではなく開成・東大理科1類・大学院修士卒という、異色の経歴にある。そんな天才ピアニストが生み出す音楽は芸術的で神懸かり的なものすら感じた。

ピアノ教室を主宰する母・美智子さんによると1歳ごろから数字に興味を示し始め、1歳半からピアノを始めたようだ。「数学とピアノが彼を形づくる大きな要素となった」と語っている。

最近、医学博士の大黒達也氏の『音楽する脳』を読んで、華麗な超絶技巧が生まれる脳のメカニズムを初めて知った。氏によると「音楽は言語の先祖」であり、「音楽を究極まで追い求めると『神の数式』に辿り着く」と音楽と科学の驚くべき親和性を解き明かしている。

数学とピアノ、科学と音楽。一見、関連性がないようにみえるが、偉大な科学者には音楽に通じた人が少なくない。相対性理論を発見したアインシュタインはバイオリンの演奏家だった。数学者のピタゴラスは音律と音程を最初に発見した人物として知られている。

大黒氏によると、コンサートの音が鳴り響く瞬間に1000億個の神経細胞が一気に活動する「脳の大爆発」が起きる。つまり、音楽には脳を活性化し、言語能力や統計学習能力を高める効果があるという。最近の研究では、音楽にとどまらず認知症や失語症などの脳疾患にも有効だと言われている。

姉は六十の手習いでバイオリンを始めた。角野効果か、70代とは思えないほど頭も体も元気だ。

(光)

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