東芝が、国内であれば居住地をどこでも自由に選べる「遠隔地勤務」を試験導入すると明らかにした。自宅などでのテレワークが原則という。通信大手のNTTグループも、全国どこでも勤務可能な制度「リモートスタンダード」を導入すると発表しているが、大手メーカーにも出てきたことは注目に値する。
今月から希望者を募集するという。対象となるのは、東芝と主要子会社の計5社で、出社が不要なIT技術者などとなる。柔軟な働き方を認めることで会社の魅力を高め、人材の定着、獲得につなげるのが狙いのようだ。
一方、NTTグループは、仕事は人生を構成する要素の一つであるという考えから「ワークインライフ」の推進を図るためという。こういう考え方は今でこそ当たり前のようになっているが、ひと昔前はそうではなかった。
多くの日本人、特に男性は仕事第一と考えるのが普通だった。高度成長期を支えたのは「仕事人間」や「猛烈サラリーマン」「企業戦士」と呼ばれる人々だった。しかし、そんな言葉はもう死語となっている。
IT分野の主力となる今の若い世代は、ワークインライフの傾向が強い。この分野での優秀な人材の獲得には、給与などの報酬に劣らず、仕事と生活のバランス面での待遇が重視されるのだ。
大手の通信やメーカーの若い社員が地方に住んで仕事をするというスタイルが広まれば、地方移住の動きにさらに追い風となるのではないか。