【心をつむぐ】12年ぶりのおながわみなと祭り

おながわみなと祭り(女川町ホームページより)

宮城県女川町では、12年ぶりに「おながわみなと祭り」(第55回)が今月の24日(日)に開催されることになった。平成23年の東日本大震災の困難を乗り越え、コロナ禍から2年を経ての開催だ。

海上獅子舞では、各地区から10団体が色鮮やかな大漁旗が掲げられた漁船に分乗し女川湾内を回りながら船上で獅子舞を披露し、その後、岸壁へ降りて演舞する。町海岸広場などを会場に夜の花火もあり、臨時列車も増便する。

獅子舞は本来正月の行事で、漁業関係者の多い女川町にはリアス式海岸の入り組んだ浦に点在する集落のほとんどに、獅子舞が伝承されていた。海の安全や大漁、無病息災を祈る正月の春祈祷は重要な祭礼だ。

しかしその多くが津波によって壊滅的な被害を受けた。いくつかの支援を受けながら、平成25年から復活。神社や学校などでの披露をきっかけに集落の住民たちの結束が一気に強まったという。

集落ごとの獅子が分乗して海上パレードをするみなと祭りは歴史的には新しいが、既に女川の人々の中に深く根付いている。希望を見いだし生活や伝統を再生していく力「レジリエンス」(復元力)には、人と人とがつながり共感することが欠かせない。

女川町では、防潮堤を築かず、海辺の商店街の土地をかさ上げし、住宅は高台として海の見える町づくりを進めてきた。これを機に活気ある港づくり、町づくりがさらに進んでほしい。

(荘)

spot_img
Google Translate »