【上昇気流】(2022年7月8日)

7日、ロンドンの官邸前で声明を発表し、辞意を表明するジョンソン英首相(「AFP時事)

「イナフ・イズ・イナフ」――。「もうたくさんだ」という意味の英語で、日本人にもその感じがよく分かる。スキャンダルの相次ぐ英国のジョンソン首相に抗議し、保健相を辞任したジャビド氏の言葉だ。ジョンソン氏を辞任表明に追い込んだ政府関係者や国民の声でもある。

新型コロナウイルス対策のロックダウン中に官邸でパーティーを開いていたことが発覚したのが、ジョンソン氏の躓(つまず)きの始まりだった。この問題は党内の信任投票で何とか凌(しの)ぎ、罰金で済んだが、求心力は急速に失われた。

辞任の直接の引き金となったのは、与党保守党幹部の性的スキャンダルだった。過去にも問題のあった幹部への任命責任を追及された。

当初はジョンソン氏も辞任を否定したように、大きな問題にはならないと考えていたようだ。これまで口八丁手八丁で人々を扇動し、ピンチを切り抜けてきた。

民衆心理を読み、操縦するのに長(た)けたジョンソン氏の政治手法について、フランスのテレビ局が制作したドキュメンタリー番組のタイトルは「ボリス・ジョンソン―イギリスを口車に乗せた男―」。その過信があったのかもしれない。

今後気になるのは、英国のウクライナ危機への対応だ。ジョンソン氏はロシアの侵攻に対し、西側首脳の中でも最も強硬な姿勢を示してきた。ウクライナの首都キーウも2度訪問し、ゼレンスキー大統領を勇気づけてきた。保守党政権の姿勢は変わらないとは思うけれど。

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